未来のアーティストを育むアトリエ HOTサンダルプロジェクト

参加者の声

プロフィール写真

※掲載内容は2022年3月時点の情報です。

絵が描けない生活から、移住を決意。
島での新たな出会いを通じて、
自分自身も日々変化していく。

HOTサンダルプロジェクトに参加した時のことを教えてください。

大学3年生の時にプロジェクトに参加しました。それまで四国に行ったことがなかったので、はじめて見る瀬戸内海の美しさに、とても感動したのを今でも覚えています。穏やかな海と、そこに浮かぶ小さな島々が、私の気持ちとぴったり合わさるような気がして、制作の合間はずっと海を見ていましたね。
滞在した小手島は、名前に「小」がつく通り小さな島で、静かで穏やかな雰囲気。その環境もあってか、普段なら気づかないような、見たことのないきれいな虫や、どこからか聞こえる鳥の声、風の音など、自然の様子一つひとつに心躍らされ、絵に描き起こししながら過ごしました。1か月という長いようで短い間でしたが、島での日常は派手さこそないものの、些細なできことが積み重なって、大きな自然に包まれるような不思議な感じがありました。

移住しようと思ったきっかけは?

大学卒業後は就職したものの、転勤が多い職場だったため、仕事と制作の切り替えが上手くできず、3年ほど絵が描けない生活が続きました。私にとって絵を描くことは小さい頃から日常だったので、描けないことがストレスとなり「でも働かないと生活できない」とジレンマに陥っていたんです。
そんな時に、島に空き家があることを知り、思い切ってプロジェクトでお世話になった方に移住を相談してみました。都会で暮らすよりも生活費がかからず、静かで絵が描きやすい環境は、まさにうってつけだろうと考えたんです。相談後はトントン拍子に話が進み、実際に移住した方の家や生活の様子を見せていただいたり、空き家を見学させていただいたりしました。そうして島での生活を想像しながら、ここならしっかり制作ができそうと思い、移住を決意しました。

実際に島に移住してみて、どうでしたか?

移住後は、まわりの方々に助けていただくことばかりでした。島に来る前は、だいたいのことは一人で解決できると思っていたのですが、今思えば人に頼れないから、無理矢理一人でどうにかしていたんだと思います。島に来てからは、まわりが様子を見て声をかけてくださるので、人に頼ったり、頼られたりすることに慣れてきました。今もまだまだ人見知りはありますが、島の暮らしや制作を通していろんな方と知り合い、お話ししながら、少しずつ自分が良い方向に変わっていくのを感じています。

不便に感じることは?

ケガをしてもすぐ病院に行けないので、なるべくケガをしないよう、気をつけています。また、強風や台風がくると、船がよく止まります。島から出られない、もしくは島に帰れない、ということがないように、天気予報の風速をよく見るようになりました。

現在のお仕事は?

移住してから2年間は丸亀市役所に勤めていましたが、3年目からは画家を専業として、現在制作の日々です。2021年3月と8月には丸亀市内で個展も開催しました。それまで展示で絵を販売したことがなかったのですが、島に来てからは展示で絵を購入していただいたり、ありがたいことにご注文いただいた絵を描く機会も増えました。ご注文の絵は、自分の好きなように描くのとはまた違うところがあり、勉強になります。大学の頃から、自分に似ている人と絵を通じて心を通わせることができたら良いなと思っていたので、絵を気に入ってくださる人に多く出会えて、とても嬉しいです。
他にも公募に参加したり、ワークショップも開催しています。ワークショップはこれまでに5回ほど行い、今後も月1回のペースで行っていく予定です。移住前に夢見ていた、絵を中心とした生活を送ることができています。

どんな作品を制作されていますか?

大学時代から、描くこと自体は好きでも、それをどんな形・表現に当てはめれば良いか迷っており、今もいろんなことにチャレンジしています。画材は岩絵具、透明水彩、色鉛筆、クレヨン、最近はGペンなどさまざまで、支持体も画材によって変えています。最近は一枚絵の制作ばかりだったので、今後は絵本の勉強をして何冊かつくり、販売してみたいですね。

作品写真

今後の目標は?

これまでは自分の好きなように絵を描いてきましたが、最近は相手の要望をくみ取り、それに応えるための力・技術を身につけたいと思うようになりました。そのために、さまざまな技法・表現にトライしています。普段は色をたくさん使う作品が多いので、モノクロの絵を描けるようになるためにつけペンを買ったり、人物や動物を自分の絵柄・キャラクターとして描けるようにクロッキーをしたり、絵本のストーリーづくりにも挑戦中です。人のために描きたいと思えるようになったのは、島での生活や、個展で出会った方々の影響が大きいかもしれません。

丸亀市や離島への移住を考えている方へメッセージをお願いします。

島をはじめ、その土地をどのように見るかは、人それぞれだと思います。島には豊かな自然や美味しい食材がありますが、町にあるようなコンビニやスーパーはありません。そこを魅力的に感じるかどうか、まずは確かめにいらしてください。

立石の花畑

お気に入りの場所は、立石の花畑。春になると見ごろを迎えます。

広島フェリーターミナル看板

広島フェリーターミナルの看板。以前リニューアルした際に、絵を描かせてもらいました。

小手島から見おろす瀬戸内海

小手島のてっぺんから見おろす瀬戸内海。初めて見た時に、その美しさに魅了されました。

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